今回のテーマは「最期まで健康に生きるための体力づくり」について。
日頃、運動する習慣がない方には、ぜひご一読いただきたい内容です。
私たちの筋力は、歳とともに低下していきますから、何もしないでいると、立ちあがって歩く、といった基本動作もままならなくなっていきます。
できるだけ長く元気に暮らすための運動習慣について考えてみましょう。
最近公表された令和4年の日本人の平均寿命※は、女性87.09歳、男性81.05歳と、2年連続で前年を下回る結果になりました。これまで、平均寿命は延伸傾向にあっただけに、減少に転じたのは新型コロナウイルスの影響が大きいと考えられています。
また、健康寿命(日常生活に制限のない期間)※は、令和元年時点で女性75.38年、男性72.68年となっていて、それぞれ平均寿命と10年前後の差があります。令和4年の健康寿命はまだ公表されていませんが、平均寿命と同様に前回から減少に転じる可能性があります。
新型コロナウイルスは、感染による症状や後遺症の問題だけではなく、外出機会の減少など生活習慣の変容を招き、運動不足やコミュニケーション不足など、心身の健康に悪影響を及ぼしているといえます。
そこで、ようやく以前のような日常を取り戻しつつある今、あらためて運動不足解消に向けた習慣づくりについて、ご家族で取り組んでみませんか?
厚生労働省より毎年公表される「簡易生命表」の0歳の平均余命。
厚生労働省によって3年毎に行われる「国民生活基礎調査(大規模調査)」等を基礎資料として推定される「日常生活に制限のない期間」の平均(年)。
「健康な状態」と「要支援・要介護状態」の中間の段階を「フレイル」といいます。フレイル(frail)には、「か弱い・虚弱な」という意味があり、何もせずにいると、間もなく介護が必要になってしまう状態です。
このフレイルには「身体的」「心理的」「社会的」という3つの要素があり、それらは相互に関係しています。たとえば、配偶者との死別をきっかけに引きこもりがち(社会的フレイル)になると、気持ちが落ち込んでうつ気味になり(心理的フレイル)、食べることがおっくうになって栄養が不足、出歩かないので運動不足になる(身体的フレイル)というように、連鎖的にフレイルが進行してしまいます。
今回ご紹介する「トレーニング」は、身体的フレイル予防が主な目的ですが、運動を通してコミュニケーションが生まれるよう、家族や地域の人と一緒に取り組めるようになるのが理想でしょう。
フレイルには以下のような段階がありますが、フレイルは脳卒中等の疾病を原因とするものではないため、急激に進行するものではありません。適切な取り組みによって「健康な状態に回復できる可能性が高い」のです。