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【話し合っておきたいお葬式やお墓のこと】

2025.09.09

あなたが亡くなった後も、ご家族の日常は続いていきます。
「死んだ後のことはどうでもいい」などと思わずに、大切な人たちを悩ませることがないよう、また少しでも負担を軽くできるよう、あなたの「死後」について話し合ってみませんか?

亡くなった後に必要な手続きを知る

あなたが亡くなった後、ご家族には多くのやるべきことが生じます。それは葬送に関わることだけではなく、行政手続きや様々なサービスの解約・名義変更、相続の手続きなど多岐にわたり、手続きの期限が定められているものもあります。

ご家族のためにも生前に準備できることはできるだけ済ませておきましょう。

あなたの死後の「やることリスト」

時期目安主な必要な手続き
臨終直後●遺体安置先を決める(葬儀場か自宅が多い)
●死亡診断書を医師からもらい死亡届作成
●葬儀社を選択
●死亡届の提出、火葬許可・埋葬許可手続き(葬儀社が代行)
●菩提寺などへの連絡
●親戚・友人・知人への連絡
●遺言書の有無確認
7日以内●葬儀費用の準備・支払い
●死亡保険の請求(生命保険の請求期限は3年以内)
●携帯電話やクレジットカード等各種契約の名義変更や解約
●運転免許証やパスポートの返納
●初七日法要(仏式、繰り上げ法要時は省略)
14日以内●年金の停止、未支給年金・遺族年金等の受給手続き
(厚生年金・共済年金は10日以内、国民年金は14日以内)
●介護保険・健康保険の手続き
●住民票の世帯主変更
●葬儀費用・埋葬費用の給付金や補助金の申請
3か月以内●四十九日の法要(仏式、繰り上げ法要時は省略)
●財産と負債の確認(相続放棄は3か月以内)
●相続人の確認と相続検討
4か月以内●準確定申告(故人に所得がある場合)
10か月以内●相続税の申告・納付(できるだけ早めに)

お葬式について

ご家族は、あなたの死後すぐに葬儀の準備を進めなくてはなりません。どのようなお葬式にしたいのか、予算も含めて具体的に話し合ってみてはいかがでしょうか?

葬儀社が定期的に開催するイベント(相談会)に参加してみるのもおすすめです。

お葬式の種類

一般葬

比較的広く普及している形式で、概ね「通夜」→「葬儀・告別式」→「火葬」の流れで行われます。親族のほか、故人と交流があった方や縁のある方が参列します。

家族葬

内容は「一般葬」と同じですが、参列者を家族や親族、親しい友人などに限定する小規模なお葬式です。一般葬と比べ、弔問に来られる方への接待等に追われることなく、故人との時間をゆっくり持てるとして、ここ最近では最も多い形式です。

一日葬

通夜をせずに「葬儀・告別式」と「火葬」を1日間で行います。仏式の葬送儀礼と異なるため、菩提寺に埋葬する場合、事前に許可を得ておいた方がいいでしょう。

直葬(火葬儀)

通夜や告別式を行わず、遺体安置場所から火葬場へ搬送して火葬を行います。
特にコロナ禍に感染症対策として増えた形式ですが、最も費用を抑えられることもあって、葬儀は直葬で行い、後日に落ち着いて「偲ぶ会」を開催するスタイルも多いようです。一日葬と同様、菩提寺に埋葬する場合には許可を得ておいた方がいいでしょう。

葬儀にかかる費用について

「小売物価統計調査【動向編】」(総務省統計局)によれば、2025年4月の福岡市の葬儀費用は約113万円(火葬料、香典返しと火葬場控室にかかる費用は含みません)となっており、地域によってバラつきがあるものの100~150万円程度が相場と言えそうです

お墓について

お墓は、あなたの希望だけではなく、ご家族への負担等も考慮して検討したいものです。特に現代は少子高齢化が進み、人口が大きく減少していく「多死社会」です。核家族化と相まってお墓を守り続けることが難しくなっており、墓石のある一般墓(家族墓・個人墓)ばかりではなく、「樹木葬」や「納骨堂」、「海洋散骨」といった、お墓の管理が不要となる埋葬方法が増えています

さらに、厚生労働省の「令和5年度 衛生行政報告例」によれば、2023年度の「改葬」件数は全国で約16.7万件と過去最大を記録。これは墓所が遠方にある場合など、管理が難しくなって「墓じまい」する人が増えていることを示唆しています。

埋葬方法

一般墓

家単位で代々継承をする墓所・お墓です。菩提寺など寺院の墓地や、公営・民営の霊園に建立し、ご家族が定期的にお参りをする場所となります。管理費などの費用が必要になることが多いでしょう。

樹木葬

近年、選ぶ人が増えている埋葬方法です。明確な定義はありませんが、樹木を墓標として遺骨を埋葬するスタイルが一般的です。継承者が不要で、個別に埋葬して一定期間後に合祀(他の多くの人の遺骨と一緒に埋葬すること)されることが多いようです。

納骨堂

個人や夫婦の遺骨を骨壷に納めたまま収蔵する施設です。清掃等の管理の手間がなく、一般墓よりも安価です。お墓の形はありませんが、寺院や公営・民営の霊園に併設されていることが多く、樹木葬同様に継承者が不要で、一定期間後に合祀されることが多いようです。

海洋散骨

船舶や小型セスナ機などで粉骨した遺骨を海に還す埋葬方法です。一般社団法人日本海洋散骨協会によると、散骨件数は毎年増加しており、令和6年度の散骨件数は3,118件と5年前と比較して約2.5倍に増加。遺骨の一部を「手元供養」として残す方もいます。

相談先に困ったら「終活サポートセンター」をご利用ください

福岡市社会福祉協議会の「終活サポートセンター」では、福岡市内にお住まいの方々を対象に、終活に関するさまざまな相談を受け付けています。「何から始めればいいか分からない」という方もお気軽にご相談ください。

●お問い合わせ・ご相談は…

福岡市社会福祉協議会 終活サポートセンター
TEL. 092-406-0168
受付時間/9:00~17:00(土日祝日・年末年始を除く)

プロフィール
所長
吉田時成 (よしだときなり)
所属:福岡市社会福祉協議会 相談支援課 終活サポートセンター
専門分野:
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