いざ介護や相続などについて考える必要が出てきたとき、親の希望や資産状況を子が把握できていないために困るケースが増えているようです。
これまでも「相続」や「家族信託」、「介護」などについて紹介をしてきましたが、これらは家族間の信頼関係が前提にあります。
皆さんは親に、介護をどのようにして欲しいか、尋ねることができますか?
また子に自分の希望を伝えることができますか?
ケアマネジャー(ケアマネ)とは?
正式には「介護支援専門員」といいます。要介護者や要支援者からの相談を受けて、本人の希望、家庭環境や経済状況、家族関係などさまざまな現状を加味した「ケアプラン」を作成します。
作成後も継続的に本人や家族との面談を行いながら調整を続けるため、担当する家庭について深い理解がある専門家といえます。
要介護者等(要支援もしくは要介護と認定された人)がいる世帯の構成についてみると、20年前は合わせても半分以下であった核家族世帯(夫婦のみ、親・夫婦と未婚の子)と単独世帯の割合が、今では7割を超え、代わりに三世代世帯の割合が大きく減っています。
そして「主な介護者」は、「配偶者」と「子」が約半分を占めていることに変わりはありませんが、20年間で「子の配偶者」が大きく減り、「事業者」と「不詳」の割合が増えています。また「主な介護者」の同居率は、2001年は約71%でしたが、2022年では約46%になっています。
こうした変化は、共働き世帯の増加、家族構成の多様化を反映しており、介護者自身の高齢化も問題(老老介護)となる中で、今後も介護の担い手の外部化は進むでしょう。


家族構成や介護の担い手の変化による影響もあって、親の「健康状態」や「何かあった際の希望」、「経済状況」などを確認できていない家庭が増えていると考えられます。この点について遠慮せずに話し合うためには、どちらかから歩み寄ることが必要です。
親子関係の改善は双方にメリットがありますが、このまま先送りをして何かあった際の対応や手続きなどで負担が生じるのは、どちらかといえば家族の皆さんです。だからこそ、ご家族から働きかけてみませんか?
どのようにして歩み寄る「きっかけ」を作るのか、私がケアマネジャーとして多くのご家族と面談する中で感じた「考え方」をご紹介します。
核家族化により家族の関係性が疎遠になった一方で、面談をしていると、親子で同居しているご家族よりも、離れて暮らしているご家族の方が良好な関係を保っていると感じます。これは同居しているが故のストレスもあると思います。別居・同居に限らず「適度な距離感を保つ」のは、良好なコミュニケーションにおいて重要なことだろうと思います。
普段会話することがほとんどない場合、週に1回など、自分から話しかける習慣を作りましょう。話題は何でもよくて、「ソフトバンクホークスが勝ったね」「今日の天気はどう?」といった他愛のない話からスタートします。別居の場合には安否確認になりますし、話しやすい関係の土台づくりになります。LINEなどのSNSを使って最近の出来事を伝えるのもいいでしょう。
定期的に何人かで話をする場を作ると、徐々に話がしやすくなるかもしれません。孫の話はよく聞いてくれる親は多いです。ほかにも兄弟や友人など、間に入ると話が弾むような第三者を交えることを考えてみましょう。
聞きにくいことは、ビジネスライクに割り切った方がいいかもしれません。例えば、「知り合いの親が亡くなった時に何も決まっていなくて大変な苦労をしたらしい。私はそうなりたくないから教えて欲しい」というように、「自分(子)のために」というスタンスで、少しずつ必要なことを聞き出していきます。
また「介護保険を使うとこれだけ安くなる」「今やらないと損をする」といった金銭的なメリットの話をしてみるのもいいでしょう。
具体的な話をする中で、「人生最期の期間をどうしたいのか」「資産の状況に心配はないのか、管理をどうしたいと思っているのか」「介護が必要になった際や死後のこと」など、少しずつエンディングノートを埋めていく作業を一緒にすることを目指しましょう。

