どんな建物でも、年月が経てば、様々な部分が劣化していきます。そして、10数年ごとに「大規模修繕工事」のタイミングがやって来ます。管理組合の皆様は、マンションの修繕工事について、どのようにお考えですか?
高額な修繕費がかかったり、工事が長期間にわたったりと、あまり良い印象はないかもしれません。しかし、快適な住環境と、資産価値を維持するために、大規模修繕工事は、避けては通れない課題なのではないでしょうか。皆様の「安全・快適な暮らし」と、マンションの「資産価値」を守り、修繕積立金を節約しながら、賢く運用するための「計画的な修繕工事の考え方」をご説明させていただきます。
建物の劣化は、目に見える分かりやすいものから、普段はなかなか気づかないものまで、様々なケースがあるため、トータルな視点で、維持保全も含めた長期的な修繕計画を立てることをおすすめします。
よくこのようなお言葉をいただきます。この考え方は、あまりおすすめできません。例えば、道路に面した、メンテナンスが不十分な建物の壁や、ブロック塀が、地震で倒壊し、走行中の車に当たってしまった場合、その責任は、管理組合の皆さんが負うことになるのです。
雨漏りは、カビの発生や、鉄骨のサビ、木材の腐食など、深刻な二次被害を引き起こす可能性があり、長期間放置していた場合、定期的にメンテナンスを行っていた場合と比べ、2倍以上の修繕費用がかかるケースもあり、当然、工事期間も長くなります。被害と修繕費用を最小限にとどめるためにも、定期的な点検と、メンテナンスが重要なのです。
見落としがちなのが、一般的な防水工事の保証期間は、10年間だということです。15年ごとの大規模修繕工事では、無保証期間ができてしまいます。この期間に水漏れをおこした場合、多額の修繕費用がかかり、管理組合の大きな負担となります。また、損害保険では、経年劣化による建物の修復費用は対象外となる点も、注意しておく必要があります。
昨今の中古マンション流通市場においては、適正な修繕が適正な時期に行われていることが重要なポイントの一つです。適切なタイミングで、定期的な点検と小規模な補修を行い、大規模修繕工事を実施する、長期修繕計画をおすすめしています。
マンションの管理状態を5つのカテゴリーで評価し、ポイントによってランク付けすることにより、誰が見ても分かりやすく評価するための制度のことで、この制度に登録し、情報を開示することで、買い手の適正な評価につながり、マンションの資産価値向上も期待できるようになります。
マンションの状態はもちろん、管理組合の管理体制や会計の収支、修繕計画も評価されるので、しっかりとした長期修繕計画を立てておくことが重要なのです。
大規模修繕工事とは、建築当時の水準まで、機能や性能を回復させる工事のことで、12年から15年周期で、マンションの経年劣化に合わせて、計画的でまとまったエ事を行います。
さらに、建物の維持や回復に留まらず、建物全体の機能や性能面をさらに進化させ、よリ住みよいマンションにする工事を、大規模改修工事といいます。劣化部分の現状回復はもちろん、より機能性を高めることで、資産価値も高まるというメリットもあります。
主体は、工事コンサルや、管理会社、施工会社ではなく管理組合の皆様です。また、理事や修繕委員に任せっぱなしも好ましくありません。